もう、誰も好きにならない。









「ちゃんと冷やせよ。 腫れるぞ」







二宮くんが、ワタシの頬にそっと触れては軽く撫でた。








生理的に無理なくせに。







だったら、そんな勘違い起こしそうな事しないでよ。







「大丈夫だよ。 アリガトウ。 教科書も戻ってきたし、もう見せてくれなくて大丈夫。 今までありがとう。 助かりました」








自分の頬にある二宮くんの手をゆっくり下ろし、反対の手に持たれていた教科書を二宮くんから抜き取った。








「・・・・・・・・・・・・・・・何やってんだろ、オレ」








ボソっと呟いて、二宮くんは教室に戻って行った。








『何やってんだろ』・・・・・・・・・・・・どういう意味だろう。








何でヤリマンなんかに手を差し伸べているのだろう。 という事だろうか。







そうだとしたら、本当に何してくれてるんだ、二宮くん。







生理的に受け付けない人間の傍にきて、優しくされたと思ったら、次の瞬間には『オマエ、無理』とはっきり言われるこっちの気持ちを、少しだけでも汲んで欲しい。







ビッチに気遣いなんて必要ないのかもしれないけれど、辛いんだ。 痛いんだ。








二宮くんの事、それでも好きなんだから。
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