もう、誰も好きにならない。
ヤスリを探しに美術室に向かう。
教室を出ようと扉を開けた時、友達と談笑する二宮くんと鉢合わせてしまった。
ワタシの運は、どこまでも果てしなく悪い。
思わず二宮くんを睨みつけると
「・・・・・・・・・・こわー。 ビッチ冴木、まじこわー」
二宮くんの隣にいた男子が嘲った。
「・・・・・・・・・・・アンタのせいで・・・・・・・・・」
嘲笑う男子にもムカつくが、何より二宮くんに腹が立つ。
二宮くんさえ、二宮くんさえいなければ、こんな事にならなかったのに。
「・・・・・・・・・・・・はぁ?? 何オレのせいにしちゃってるワケ?? 因果応報。 他人のモン盗めばそれなりの罰が下るのは当然だろ。 オマエ、本気の馬鹿だな。 あ、馬鹿だからビッチなんだ」
二宮くんが馬鹿にしながら嘲笑する。
分かってるよ、そんな事言われなくても分かってるよ。
でも
「・・・・・・・・・・・・二宮くんには分からない。 誰かを本当に好きになった事ないでしょ?? そんな人にワタシの気持ちは分からない!!」
怒鳴るような大声を出すと
『・・・・・・・・・・ぷッ』
二宮くんもその周りの男子も、吹き出しては笑い出した。