もう、誰も好きにならない。
「オマエん家、ドコなん??」
二宮くんの質問は終わらない。
「・・・・・・・・・・・S町」
何の為に住所を聞くのか分からないが、素直に答える。
「ちょっと遠いな。 オレん家の風呂貸してやろうか?? オレん家、ココから徒歩15分。 チャリで7分。 ウチの親はどっちも18:00くらいまで帰って来ないし、弟もまだ授業中だし」
突然の二宮くんの優しさに、驚きを隠せず目を見開いてしまった。
「・・・・・・・・・・・・心配、してくれるんだ」
「イヤ、同情。 オマエ、可哀想すぎ」
バッサリ切り捨てられてしまったけれども。
でも、嬉しかった。
同情でも何でもイイから縋りたい。
だって今、物凄く辛い。
「・・・・・・・・・・・・・お風呂、貸してください」
「ん。」
立ち上がり、『ついて来い』と言わんばかりに先を歩く二宮くんの背中を追いかけた。