もう、誰も好きにならない。
そこまで、腐ってない。









校舎を出て、駐輪場へ。







二宮くんがチャリに跨る。







ワタシは運動神経はそんなに鈍い方ではない。 でも、チャリの速度で走れるだろうか。







「・・・・・・・・・・・・あの、ちょっとゆっくり漕いでくれないかな。 頑張って走るけど、追いつけないカモしれない」







二宮くんの機嫌を損ねない様に、『努力はします』の意思を織り込みつつ、お伺いをたてる。







だってやっぱり、男子の漕ぐチャリになんて、全力出して走っても追いつけないだろうから。







「正直、オマエみたいな最低な事をする人間に好感なんか微塵も持ってないけど、オレはそこまで鬼畜じゃない。 後ろ、乗れって」







二宮くんの容赦ない前置きは、どうしたって傷つく。 でも、二宮くんは事実を言っているに過ぎないんだ。







「・・・・・・・・・・・・でもワタシ、濡れてるし。 二宮くんに捕まったら、二宮くんも濡れちゃうよ」







「いいよ。 オレ、帰ったらすぐ着替えるし。 いいから早く乗れって」







二宮くんがチャリの後部を叩きながら急かすので、遠慮がちに二宮くんの後ろに回った。
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