もう、誰も好きにならない。
「・・・・・・・・・・・・なんで??」
「だってオマエ、教科書ないじゃん。 誰からも見せてもらえないじゃん。 オマエ、まじで相当嫌われてんのな。 『この席とオレの席、代えて』って言ったら喜んで代わられたぞ」
二宮くんは、何で本当の事をそのまま伝えるんだろう。
『冴木の為に席交換してもらった』とでも言ってくれればいいのに。
・・・・・・・・・・・・・言うワケないじゃん。
ワタシを喜ばせたところで、何の得もない。
得するどころか
「二宮ー。 何ビッチ冴木と机くっつけちゃってるんだよ。 あ、オマエもしかして、ビッチ冴木に喰われたとか?? どうだった?? ビッチだけあってスゴかった??」
よく一緒にいる仲間の男子に冷やかされてしまっている二宮くん。
「何でオレが冴木に喰われなきゃいけねぇんだよ。 ほぼほぼ同情だわ」
まぁ、二宮くんが黙って冷やかされているわけもなく、しっかり言い返したけれど。
『ほぼほぼ同情』分かっているけれど、念押しの様に宣言されると辛い。
イヤ、同情してもらえるだけ有難い事だ。
同情でも何でもいい。
だって、今ワタシの傍にいてくれるのは、二宮くんだけなのだから。