もう、誰も好きにならない。
堪えきれずに零れた涙を袖で拭った時
「『彼女とその友達の友情の継続を願って浮気しました』って、何ソレ。 川田。 どんな言い分だよ。 冴木も冴木で、何でこんなワケの分からない主張で泣いちゃってるワケ??」
準備室の外で話聞いていただろう二宮くんが、ワタシたちを馬鹿にしながら中に入ってくると、いつも通り適当な席に座り机に頭をつけては寝ようとした。
「二宮には関係ないだろ。 毎日毎日ココに何しに来てるんだよ」
イラついた様子の川田くんが、二宮くんに突っかかる。
「昼寝。」
二宮くんは一瞬だけ顔を上げると、面倒くさそうに返事をしては、また頭を机にくっつけた。
「・・・・・・・・・・・・ふーん。 毎日ココで冴木とヤッてるって噂だけどね」
川田くんが今度はワタシに目線を移した。
そーいう噂があることは知っていた。 でも、話相手が誰ひとりいないワタシが、誰に『それは違う』と誤解を訴えればいいのか分からず、解く事が出来なかった。
「そんなわけな『で?? 冴木とオレがどんなカンジでヤってんのか見に来たワケだ。 イイ趣味してんな、川田』
否定をしようとしたワタシを、昼寝を邪魔されて不機嫌な様子の二宮くんが遮った。