もう、誰も好きにならない。
「そんなに抱き心地良かったんだ??冴木は。 オレとヤってんのが気になるくらいに。 ・・・・・・・・・・何が『冴木が告ってきたせいで』だよ。 『冴木がワガママ言ったせいで』だよ。 何全部冴木のせいにしてんだよ。 本当は冴木に告られて嬉しかったくせに。 モテ期が来て舞い上がってたんだろ?? 彼女以外の女ともヤれて嬉しかったんだろうが」
二宮くんが立ち上がり、川田くんに詰め寄る。
「はぁ?? 違うし」
川田くんが、威圧しながら近づく二宮くんの胸を押した。
「違わねぇだろうが。 中岡との間に蟠りが出来て上手く行かないのは、オマエのせいだろうが。 どんなに冴木がしつこく告ろうが、ワガママ言って駄々こねようが、オマエが断れば良かった話だろうが。 オマエがちゃんと断れば、多少冴木と中岡の関係がギクシャクしようとも、こんな風に崩れる事はなかったと思うけど?? オマエ、性欲に理性が飲まれる気持ち悪いタイプの人間だよな」
胸を押されようともビクともしない二宮くんは、川田くんを蔑みながらまくし立てる。
「中岡と別れようにも、浮気した手前、自分からは言えないもんなぁ。 自分は身動き取れないのに、かつて自分を好きだと言って、浮気の原因になった女は他の男と楽しそうにしてて腹が立ったんだろ。 冴木の移り気が許せなかったんだろ。 オマエ、まじでしょーもないな。 元々冴木はオマエの浮気相手だろうが。 そんな冴木の気持ちも繋ぎとめて置きたいとか、駄々っ子か」
『ダサイにも限度があるだろ』二宮くんに吐き捨てられた言葉に、川田くんが顔を真っ赤にさせて憤慨した。
だけど、言い返すことは出来ないでいる川田くん。
結局川田くんは、ワタシたちを睨みつけて準備室を出て行った。