もう、誰も好きにならない。
何だろう。 涙が止まらない。
この涙の意味に気付いているから、止まらない。
ワタシの涙を嫌う二宮くんには見せないように、横髪で顔を隠しながら川田くんの出て行った扉を見つめ続けていると
「・・・・・・・・・・・ごめん。 冴木」
何故か二宮くんが謝りながらワタシに近づいて来た。
「・・・・・・・・・・・・何が??」
だから、顔を背ける。
「嫌だったろ。 好きな男を悪く言われるのは。 それに、別に冴木はオレに移り気なんかしてないのにな。 冴木の事も『浮気相手』とか言って。 確かに浮気相手だったけど、川田は冴木の事も好きだったんだと思うよ。 だって、浮気したの数回じゃないんだろ?? ただの遊びなら浮気の継続なんかしなかったと思うし。 ・・・・・・・・・・なんか、川田の態度が癇に障ってついキレてしまった」
『ごめん』二宮くんがもう一度謝る。
・・・・・・・・・・・・違う。
ワタシは、二宮くんが言った言葉に何の嫌悪感も抱かなかった。
ワタシの涙が止まらないのは