もう、誰も好きにならない。









「・・・・・・・・・・・・なんでそんな事聞くんだよ」







二宮くんに、とても正直には答えられない様な質問をされた。







『好きだから、気になるんだよ』素直に言えたら、どんなに良いだろう。







そんな事を言えるハズもないから







「・・・・・・・・・・・・だって、彼女持ちの男子から毎日教科書見せてもらうって、やっぱ良くないでしょ」







かろうじて嘘ではない言葉を搾り出す。







「・・・・・・・・・・・・教科書の心配かよ」







若干イラついた二宮くんは、そう言いながら次の授業の教科書を広げた。







違う。 だけど、否定が出来ない。 だから







「・・・・・・・・・・・・いつもありがとう。 二宮くん」







『好きだ』と言えない代わりに、精一杯の感謝の言葉を。







「はいはい。 じゃあ、今日もしっかり勉強しなさいな」







二宮くんがちょっとだけ笑って、ワタシの頭を撫でた。







これで充分。 今度こそ、これ以上は望まない。
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