アイを知る猫
第一章 こねこねこ
「でんどぅ」
東京都内の山手線には日暮里(にっぽり)と言う駅がある
都内の人たちは乗り換え駅として利用している方も多いだろう
日暮里駅を降りてみると正面には広いバス停があり、くるりと背を向けると駅の裏側には坂がある
その坂はあまりに勾配が大きいので、自転車などで一気に登ろうとすると若い人でも心臓が破裂しそうになるぐらいだ
今日もまた・・・一人の少年がその坂に苦戦中だ・・・
・・・「はぁ、はぁ、、、くぅぬ~やろ~~~!!!」
顔は真っ赤かになり、鼻息はふんふんと荒らだて、人目をはばからず大きな奇声をあげて自転車を漕ぐが・・・
たいして進んでいない
・・・「はぁはぁ、まじきつ!!」
彼は思った・・・バイトの前に何故こんなに疲れなければ行けないのか?
何故、わざわざ坂の上にバイト先を選んでしまったのか?
あと何回、この坂を登らなくては行けないのか?
腹のあたりに込み上げるぐぐっ~とした怒りを、パワーを変えて・・・自転車を漕ぐ!!
チャリン!チャリリン!
「邪魔よ!」と言わんばかりに音を鳴らし、彼の後ろからスイスイ~と涼しい顔をしたオバチャンが乗った自転車に追い越されていまった。
・・・「でんどぅぅ~~(涙)」
オバチャンの自転車を見て言った。