薔薇の夢をあなたに
次の日の早朝、私たち4人はサーシャの導きの元、森の中を進んでいた。





デイヴィスは【赤の団】、ロゼットとレイは【黒の団】の団服を身に着けている。
私も、デイヴィスと同じ【赤の団】の団服を借りていた。






「【月の国】の王族たちは、最も信頼を置く我らエルフ族に石の管理を任せた。特に我が国の王族は魔力が強かった、おそらく石による権力の暴走を防ごうとしたのだろう。
我らは、この森に人の子が近づかないようにすることを条件に、その頼みを受け入れた。」





「どうして、人間との関係を絶ったの?昔は、仲良くしていたのでしょう?」
私は疑問に思った。





「…一部の者たちが、エルフ族の力を悪用して他国に戦争を仕掛けようとしたのだ。我らは人の子の争いになど興味はない。」





レイの顔が曇る。「王族たちがそのような愚かしいことを…?」





「いや、王家のものではないよ。下級の貴族たちだ。そのような考えを持っているものが、城の中にいたこと、王家の者たちは気付いていたよ。石は正しき者、悪しきものに関わらず力を与える。石の力を悪用されないためにも、エルフ族に預けたのだろう。」





私たちは馬を操りながら、サーシャの声に耳を傾けていた。




…戦争。自分とは縁遠いと思っていたことが急に現実味を帯びてくる。背筋がぞくっとした。
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