薔薇の夢をあなたに
私はレイピアは前にクロスしたまま、足音を消して進む。




驚くほど静かな館内。数日ここに滞在しているが、こんなにしずかだったことはない。
そして、何より私の“目”が魔族の存在を感じていた。




何かがこの中にいる…先行するサーシャから痛いほどの緊張が伝わってくる。





「もし、何かあったらワタクシに魔力を注ぎなさい。本来の姿に戻る。」
ルビーが耳打ちする。私は目でうなずいた。




長老の間にまっすぐ向かう、扉の両端に待機する私たち。
魔族の気配はこの中だ。





「いくぞ。」サーシャが口に動きだけで、私たちに伝える。
次の瞬間、サーシャはドアを蹴破った。





私たちも勢いよく転がり込む。





目の前にはおぞましい光景が広がっていた。
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