薔薇の夢をあなたに
むっとする硫黄のにおいがたちこめる。
魔族が続々と湧き出ていた。




「ジュリエット!ワタクシに魔力を!!」
「ルビー!!!!」私はありったけの魔力をルビーに送った。




二人の足元に契約の陣が浮かんだ。
ドラゴンの恐ろしい咆哮が大気を揺らす。




光が収まると。巨大なドラゴンが館を踏みつぶす形で現れた。
「あら。」ルビーはつぶれた館を申し訳なさそうに見た。




「ルビー!私たちを乗せて!」私は叫んだ。
元の姿に戻ったルビーは私とロゼット、デイヴィスそしてサーシャを背中にのせると、空を舞った。





「…何てことだ…。」
上空に上がった私たちが見たのは信じられない光景だった。





自然に愛され、活気あふれる美しいエルフの里。
それが今、燃えていた。




あちこちで火の手があがり、殺されたエルフは何体もの魔族に群がられ食われていた。
「嘘…だ…。」サーシャは涙をこぼした。




「ルビー!とにかく魔族を祓うわよ!!」
ルビーはいつもの可愛らしい返事ではなく、雄々しい咆哮で答えた。




彼女は高度をグンと下げて、魔族をピンポイントで滅していく。




硫黄のにおいと家や人の燃えるにおいで、かなり空気はよどんでいた。
私たちも、ルビーの背を降りて、魔族と交戦する。




ふいをつかれたエルフたちも少しずつ抗戦を始めていた。
あちこちで、エルフの聖なる魔力が光を放っている。




その時だった。
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