薔薇の夢をあなたに
僕はぼんやりと意識を取り戻した。
とても寝心地のよいベッドに横たわっていることを感じるが、まだけだるくて再び眠ろうとした。しかし、外がどうにも騒がしい。
「王!今一度お考えを!この少年を城に置くのはやはり危険です!!どこから侵入したかもわからないのですよ!!しかも、全身に魔法による傷痕、最近魔法戦争を起こした国といえば【月の国】以外ございません!」
「何が言いたいのだ?」
「この少年はおそらく【月の国】から亡命してきたのでしょう!少し考えれば分かることです!この少年をかくまえば我が国も魔族の侵攻を受けるかもしれないのですよ…」
「そなたの言い分はそこまでか?」
「王!」
「よろしい。自国の被害を恐れ、傷ついた少年を生身で国外に放り出そうとする臆病者は軍にはいらぬ。そなたから魔法騎士団【黒の団】の団長の称号をはく奪する。」
「そんな!!私は!!」
そのやり取りを聞きながら、僕は考える。何もわからないバカじゃなかった。自分の存在がここの迷惑になっているのなら、僕はいますぐこの場から去らなければならない。
無理やり目をこじ開けて、体を起こそうとした。…重い。
見ると、腹の上でなにかが寝ている。
ベッドの横の小さな揺り椅子にこしかけた「それ」は、ぼくの腹の上に頭をのせて気持ちよさそうに寝息を立てている。
「はぁ…。」脱走の出鼻をくじかれた僕はあきらめて「それ」を揺り起こす。
「君…起きて…?」少女は柔らかな髪をくしゃくしゃにしつつも、顔を起こす。
「うーん、あれ、わたし、いつのまに…」顔を上げた少女はゆっくりと瞳の中に僕を捉える。
その瞬間「妖精さん!!!起きたのね!!」満面の笑顔で勢いよく飛びつかれる。「う!!うわぁ!」ゴンっ。あまりの勢いに僕はベッドの背もたれに頭を打ち付ける羽目になる。地味に痛い。
「妖精さん!!大丈夫!?」僕を痛めつけた張本人は、だきついたまま心配そうに顔を見上げてくる。
「うわぁあ!」僕を助けてくれた少女は、キラキラの笑顔で僕の顔を見つめる。「な、何?」
「やっぱり、妖精さんって本当にきれいなのね!絵本で読んだ王子様みたいにキラキラしてる!」
な、何を言っているんだこの子は。僕は不覚にも顔に血が集まるのを感じる。
「うん!すごくきれい!!髪はお星さまの色だし、おめめはお空の色よ!あ、海の色かなぁ?うーん…」あまりにも近い距離で話す少女。少しでも僕が動けば、唇がふれてしまいそうなほど。
僕は真っ赤になる顔を隠しながら、少女を押し返す。「だから!僕は妖精じゃないよ!僕はレイ!」不思議そうに首をかしげる少女。
「そんなにきれいなのに、妖精さんじゃないの?」
「そうだ。」僕は腕組みして応える。
「あなた絵本の王子様みたいなのに、妖精さんじゃないの?」
「そうだ。」
「お花畑の中からでてきたのに?」
首を傾げすぎて、ほとんど真横になってしまっている少女。
「あー、とにかく僕は妖精じゃない。レイ、普通の人間だよ。多分君と同じ人間。」
僕は彼女に指を突きつける。正直、この少女の美しさは人間であるのか、自信はなかったが。
「そうなのね、分かったわ。少し残念だけど…私はジュリエットよ。レイ、これからよろしくね!」
ジュリエットと名乗る少女は、相変わらず僕に抱きついたまま、そう言った。
とても寝心地のよいベッドに横たわっていることを感じるが、まだけだるくて再び眠ろうとした。しかし、外がどうにも騒がしい。
「王!今一度お考えを!この少年を城に置くのはやはり危険です!!どこから侵入したかもわからないのですよ!!しかも、全身に魔法による傷痕、最近魔法戦争を起こした国といえば【月の国】以外ございません!」
「何が言いたいのだ?」
「この少年はおそらく【月の国】から亡命してきたのでしょう!少し考えれば分かることです!この少年をかくまえば我が国も魔族の侵攻を受けるかもしれないのですよ…」
「そなたの言い分はそこまでか?」
「王!」
「よろしい。自国の被害を恐れ、傷ついた少年を生身で国外に放り出そうとする臆病者は軍にはいらぬ。そなたから魔法騎士団【黒の団】の団長の称号をはく奪する。」
「そんな!!私は!!」
そのやり取りを聞きながら、僕は考える。何もわからないバカじゃなかった。自分の存在がここの迷惑になっているのなら、僕はいますぐこの場から去らなければならない。
無理やり目をこじ開けて、体を起こそうとした。…重い。
見ると、腹の上でなにかが寝ている。
ベッドの横の小さな揺り椅子にこしかけた「それ」は、ぼくの腹の上に頭をのせて気持ちよさそうに寝息を立てている。
「はぁ…。」脱走の出鼻をくじかれた僕はあきらめて「それ」を揺り起こす。
「君…起きて…?」少女は柔らかな髪をくしゃくしゃにしつつも、顔を起こす。
「うーん、あれ、わたし、いつのまに…」顔を上げた少女はゆっくりと瞳の中に僕を捉える。
その瞬間「妖精さん!!!起きたのね!!」満面の笑顔で勢いよく飛びつかれる。「う!!うわぁ!」ゴンっ。あまりの勢いに僕はベッドの背もたれに頭を打ち付ける羽目になる。地味に痛い。
「妖精さん!!大丈夫!?」僕を痛めつけた張本人は、だきついたまま心配そうに顔を見上げてくる。
「うわぁあ!」僕を助けてくれた少女は、キラキラの笑顔で僕の顔を見つめる。「な、何?」
「やっぱり、妖精さんって本当にきれいなのね!絵本で読んだ王子様みたいにキラキラしてる!」
な、何を言っているんだこの子は。僕は不覚にも顔に血が集まるのを感じる。
「うん!すごくきれい!!髪はお星さまの色だし、おめめはお空の色よ!あ、海の色かなぁ?うーん…」あまりにも近い距離で話す少女。少しでも僕が動けば、唇がふれてしまいそうなほど。
僕は真っ赤になる顔を隠しながら、少女を押し返す。「だから!僕は妖精じゃないよ!僕はレイ!」不思議そうに首をかしげる少女。
「そんなにきれいなのに、妖精さんじゃないの?」
「そうだ。」僕は腕組みして応える。
「あなた絵本の王子様みたいなのに、妖精さんじゃないの?」
「そうだ。」
「お花畑の中からでてきたのに?」
首を傾げすぎて、ほとんど真横になってしまっている少女。
「あー、とにかく僕は妖精じゃない。レイ、普通の人間だよ。多分君と同じ人間。」
僕は彼女に指を突きつける。正直、この少女の美しさは人間であるのか、自信はなかったが。
「そうなのね、分かったわ。少し残念だけど…私はジュリエットよ。レイ、これからよろしくね!」
ジュリエットと名乗る少女は、相変わらず僕に抱きついたまま、そう言った。