薔薇の夢をあなたに
「おい、起きろよ。いつまで寝てんだクソガキ。」
まぶたの裏に光を感じながら、僕は耳障りな声を聴く。
とても不本意だったがゆったり目を開け、独房の固い備え付けベッドから身を起こす。
檻のすぐ外には僕らを助けた妙に整った騎士団長とやらがいた。まだ朝は肌寒いというのに半袖のシャツからは、力強い二の腕がのぞいていた。僕はあからさまに不快感をあらわにする。
「何の用ですか。団長殿。」
「うわ…寝起き悪いな。」
僕の顔を見て相手も同じく不快そうな表情になる。そんな顔すらも整っていてとてもムカつく人だ。
「釈放だよ。謹慎も昨日まで、ほら、出て来いよ。」
そういってガチャリと扉を外側に開いた。
僕はその言葉を無視して、再び横になる。
「おい、何寝てんだ。さっさとでてこいよ。」
「僕の罪はこんな謹慎程度じゃ、晴れないよ。」背を向けたままボソボソとつぶやく。
我ながらずいぶん子供っぽい。
でも、自分の脳裏にはまだあの感覚がこびりついている。
ジュリエットが連れ去られる恐怖。自分がなにもできない弱者だと知ったあの感覚。何より傷の痛み。外の世界が怖い。
この朝だろうが、昼だろうが暗いこの地下牢は今の僕にぴったりだった。
何より外に出たって、もうジュリエットには会えない…。
誰よりも大切な僕だけの姫。彼女の手を放したのは僕自身の弱さだ。
そこまで考えると寝返りを打って、扉に背を向けた。
「あーあ。情けねえ。本当にだからガキは嫌いなんだよ。」
外から大きなため息が聞こえてきた。
「おいクソガキ。いつまでも甘えんじゃねえ。いつまでそこで寝てるつもりだよ。」外の声がぐっと低くなる。
「てめえが弱いから、こうなったんだろう。いつまでもうじうじしてんじゃねえよ。それに自分だけが傷ついてると思うなよ、相手が今どうなってんのか知ってんのかよ」
まぶたの裏に光を感じながら、僕は耳障りな声を聴く。
とても不本意だったがゆったり目を開け、独房の固い備え付けベッドから身を起こす。
檻のすぐ外には僕らを助けた妙に整った騎士団長とやらがいた。まだ朝は肌寒いというのに半袖のシャツからは、力強い二の腕がのぞいていた。僕はあからさまに不快感をあらわにする。
「何の用ですか。団長殿。」
「うわ…寝起き悪いな。」
僕の顔を見て相手も同じく不快そうな表情になる。そんな顔すらも整っていてとてもムカつく人だ。
「釈放だよ。謹慎も昨日まで、ほら、出て来いよ。」
そういってガチャリと扉を外側に開いた。
僕はその言葉を無視して、再び横になる。
「おい、何寝てんだ。さっさとでてこいよ。」
「僕の罪はこんな謹慎程度じゃ、晴れないよ。」背を向けたままボソボソとつぶやく。
我ながらずいぶん子供っぽい。
でも、自分の脳裏にはまだあの感覚がこびりついている。
ジュリエットが連れ去られる恐怖。自分がなにもできない弱者だと知ったあの感覚。何より傷の痛み。外の世界が怖い。
この朝だろうが、昼だろうが暗いこの地下牢は今の僕にぴったりだった。
何より外に出たって、もうジュリエットには会えない…。
誰よりも大切な僕だけの姫。彼女の手を放したのは僕自身の弱さだ。
そこまで考えると寝返りを打って、扉に背を向けた。
「あーあ。情けねえ。本当にだからガキは嫌いなんだよ。」
外から大きなため息が聞こえてきた。
「おいクソガキ。いつまでも甘えんじゃねえ。いつまでそこで寝てるつもりだよ。」外の声がぐっと低くなる。
「てめえが弱いから、こうなったんだろう。いつまでもうじうじしてんじゃねえよ。それに自分だけが傷ついてると思うなよ、相手が今どうなってんのか知ってんのかよ」