薔薇の夢をあなたに
いつもより少し早く起きた私はドレッサーで軽くメイクをして、髪をとかした。

ここに来てからはエリーに任せっぱなしだった洋服も、今日は自分で選んだ。

いつのまにか日常生活に支障のないレベルまで、足は回復していた。

「うわ…こんなにあったのね…」

衣装のクローゼットだと思っていたところは、なんと衣裳部屋に続く入り口に過ぎなかった。

一通り物色してようやく気に入ったワンピースを一着選ぶ。

レモン色のシフォンワンピース。
少しでも健康的に見えるように意識したつもりだ。

同じく淡いイエローのパンプスと白いバッグも合わせる。

あんまり着ないような服だけど、今日はこれでいこう。

私は衣裳部屋をでて、今日の作戦を頭で確認する。よし。絶対仲直りする。


コンコンッ

エリーね!昨日の打ち合わせ通り、迎えにきてくれたのだ。

私はドアに駆け寄り、勢いよく開けた!

「おはよっ…」

!!!!!!!


エリーの顔があるべき場所には、男の人の脚があった。
きれいな革靴だった。

あれ?

はっとして見上げると、そこにいたのはレイだった。

「…おはよう……」

「あ、レイ!おはよう!!」

話がだいぶ違う。え、エリー?

「ジュリエット、早朝からすまない。あの…少しお邪魔していいかな?」


おずおずといった感じで問いかけてくる。

「も、もちろん!少し散らかっているけど、どうぞ。」
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