薔薇の夢をあなたに
レイは慣れた手つきで、私を馬上に引き上げると、そのまま前に座らせる。
ちょうど、手綱を握るレイの腕の中に閉じ込められる形になる。背中がレイと密着して、心臓の音が聞こえてしまいそうだ…
「それじゃあ、出発するよ。」
レイは馬に乗るのもとてもうまかった。速足程度のスピードで、あっという間に城の玄関までたどり着いてしまった。
「あ!レイ様――――!ジュリエット様――――――――!!」
入り口のところで、大きすぎるバスケットを抱えたエリーがぴょこぴょこと手を振っている。
「エリー、助かる。急に無理を言ってすまなかったな。」
「いえ、これくらいのわがままならもっと言ってほしいくらいですわ!」
「ジュリエット、受け取ってくれないか?」
「あ、うん!」
私は手を精一杯伸ばしてエリーからバスケットを受け取った。
なんだかいいにおいがする…
「少し出かけてくる。日没までには戻る。」
「はい、かしこまりました。いってらっしゃいませ!!」
私は遠ざかっていくエリーに手を振る。
「いってきまぁーす!!!」
私はこのお城に来てから、はじめて敷地の外に出た。
門をくぐると視界いっぱいに森が広がっていた。よく見ないとわからないような道を、レイは颯爽とかけていく。
川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾けてみる。
視界の端では、多くの動物たちが興味津々にこちらを見ている。森の木々も、命いっぱいに空に枝葉を伸ばしている。
悪魔の侵攻を受けてから、多くの土地は枯れていった。このように豊かな森も最近ではほとんど見なくなってしまった。
空気を肺いっぱいに吸い込むと、少し湿った土の匂いがした。
「森も君のことを歓迎しているみたいだ…、よそ者がいるのに、こんなにたくさん動物たちがでてくるなんて、本当にめずらしいんだよ…」
レイが身をかがめて、耳元でささやく。
心臓が思わず跳ね上がる。
「そ、そうなの!嬉しいわ!!」
そんな様子を見られてクスっと笑われる。レイの行動はいちいち心臓に悪い…。
「さぁ、着いたよ。おまたせ。」
レイはひらりと馬から降りると、手綱を握って馬を前に導く。
視界が突然開けた。
「…す…すごい…」
そこは天然の広場だった。
野生の花々が自由に生い茂っている。風が広場に吹き込むと、花びらが一斉に舞った。
目の前に広がる幻想的な光景に私は言葉を失った。
「気に入ってもらえたかな?」
レイは私を抱えておろしてくれる。
「シルバー、ここで待っててくれるかい?」
シルバーは広場の入り口に繋がれ、足元の草を食み始めた。
「さぁ、いこう。」
手をひかれ、広場の中を歩く。
隣に並ぶときれいな笑顔を向けてくれる。私も笑顔を返す。ドキドキが手のひらから伝わっていきそう…
「長時間の移動、疲れたろう。少し休憩しよう。」
木陰にきれいな布をひいて、私たちは腰掛けた。
バスケットの中身はあふれんばかりの様々なサンドウィッチだった。レイは少し落ち着くと、ぽつぽつ話し始めた。
「ここは、僕が見つけた場所なんだ。人を連れてきたのは君がはじめてだよ。」
「え?わたしなんか入ってもよかったの?」
「君だから連れてきたんだよ。」
美しい唇がふわりとほほ笑む。日の光をあびてきらめく彼の髪はキラキラしていた。
「あの…ありがとう…」
ちょうど、手綱を握るレイの腕の中に閉じ込められる形になる。背中がレイと密着して、心臓の音が聞こえてしまいそうだ…
「それじゃあ、出発するよ。」
レイは馬に乗るのもとてもうまかった。速足程度のスピードで、あっという間に城の玄関までたどり着いてしまった。
「あ!レイ様――――!ジュリエット様――――――――!!」
入り口のところで、大きすぎるバスケットを抱えたエリーがぴょこぴょこと手を振っている。
「エリー、助かる。急に無理を言ってすまなかったな。」
「いえ、これくらいのわがままならもっと言ってほしいくらいですわ!」
「ジュリエット、受け取ってくれないか?」
「あ、うん!」
私は手を精一杯伸ばしてエリーからバスケットを受け取った。
なんだかいいにおいがする…
「少し出かけてくる。日没までには戻る。」
「はい、かしこまりました。いってらっしゃいませ!!」
私は遠ざかっていくエリーに手を振る。
「いってきまぁーす!!!」
私はこのお城に来てから、はじめて敷地の外に出た。
門をくぐると視界いっぱいに森が広がっていた。よく見ないとわからないような道を、レイは颯爽とかけていく。
川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾けてみる。
視界の端では、多くの動物たちが興味津々にこちらを見ている。森の木々も、命いっぱいに空に枝葉を伸ばしている。
悪魔の侵攻を受けてから、多くの土地は枯れていった。このように豊かな森も最近ではほとんど見なくなってしまった。
空気を肺いっぱいに吸い込むと、少し湿った土の匂いがした。
「森も君のことを歓迎しているみたいだ…、よそ者がいるのに、こんなにたくさん動物たちがでてくるなんて、本当にめずらしいんだよ…」
レイが身をかがめて、耳元でささやく。
心臓が思わず跳ね上がる。
「そ、そうなの!嬉しいわ!!」
そんな様子を見られてクスっと笑われる。レイの行動はいちいち心臓に悪い…。
「さぁ、着いたよ。おまたせ。」
レイはひらりと馬から降りると、手綱を握って馬を前に導く。
視界が突然開けた。
「…す…すごい…」
そこは天然の広場だった。
野生の花々が自由に生い茂っている。風が広場に吹き込むと、花びらが一斉に舞った。
目の前に広がる幻想的な光景に私は言葉を失った。
「気に入ってもらえたかな?」
レイは私を抱えておろしてくれる。
「シルバー、ここで待っててくれるかい?」
シルバーは広場の入り口に繋がれ、足元の草を食み始めた。
「さぁ、いこう。」
手をひかれ、広場の中を歩く。
隣に並ぶときれいな笑顔を向けてくれる。私も笑顔を返す。ドキドキが手のひらから伝わっていきそう…
「長時間の移動、疲れたろう。少し休憩しよう。」
木陰にきれいな布をひいて、私たちは腰掛けた。
バスケットの中身はあふれんばかりの様々なサンドウィッチだった。レイは少し落ち着くと、ぽつぽつ話し始めた。
「ここは、僕が見つけた場所なんだ。人を連れてきたのは君がはじめてだよ。」
「え?わたしなんか入ってもよかったの?」
「君だから連れてきたんだよ。」
美しい唇がふわりとほほ笑む。日の光をあびてきらめく彼の髪はキラキラしていた。
「あの…ありがとう…」