薔薇の夢をあなたに
「そろそろ僕の番かな?ねぇ、僕は君の旅の話が聞きたい。」
「旅?一座の話でいいの?」
「うん。どんなところに行ってどんな人と出会ったの?…知りたい。」
青の瞳がすっと覗き込んでくる。
その時、レイの瞳の中に映る自分を見て私は自覚せざるを得なかった。
うるりと輝く瞳に、ほんのり紅潮している顔。そう、私はどうしようもなくレイに恋をしてしまったんだと。
「うん。いいよ。私たちはね…」
私のどうでもいい話も真剣に聞いてくれる彼が、美しい笑顔の彼が、誰よりも優しく私に触れてくれる彼が、いつのまにか私は好きになってしまったのだ。
自覚した瞬間、普通に話すのがつらくなってしまった。わずかに空いた二人の隙間をうめてしまいたい、抱きつきたい衝動を必死に抑え込む。
「あ!そういえば!」
私はデビューの話に入った瞬間思い出した。
「どうした?」
「私レイにプレゼントを用意したの!」
バッグの中を探る。あった!!
「これ、レイを思って作ったの。仲直りの記念に受け取って。」
「これは…楽譜?」
「うん。昨日一日で作ったから編曲はすごく雑なんだけど…。から歌うから聞いて…」
私は広場の真ん中まで素足で飛び出す。何度か大きく深呼吸して歌い始めた。
風が私の声をどこまでも運んでくれる気がする。
あなたの穢れない魔力も、
きれいな青の瞳も、
サラサラ流れる星の色をした髪も、
本当はだれよりも優しい心も、
全部全部私を惹きつけるんだよ…
そして私は、そんなあなたをずっと前から知ってる気がするんだよ?
「ど…うかな…」
歌い終わったけど全く反応のないレイ。
私はトコトコ歩いてレイのもとへ戻る。
「レ…レイ…??」
覗き込んでみると、ようやく目があった。
「きゃっ!!!」
気が付くと私はレイの腕の中に閉じ込められていた。
「ちょ、レイ!?どうしたの??」
「これ、僕のためにつくってくれたの?」
「うん。そのつもり。どうだったかな?」
レイの胸に押し付けられてしまっているせいで顔が見えない。
「ジュリエット…君って本当に…あぁ…すごく伝わってきたよ…僕は君にこんなことをしてもらえるような人間じゃないのに…」
「喜んでもらえた?」
レイはふっと私を解放してくれる。
「嬉しいなんてものじゃないよ、この曲の伴奏はもちろん僕にさせてくれるよね?」
レイはみたことのないくらい満面の笑みで答えてくれた。
「もちろんよ!また一緒に合わせましょう!」
その時、どこか遠くでガラスが割れるような音がした。
幸せな空気が一瞬で凍る。
レイはものすごい勢いで立ち上がり城の方角をにらんだ。
「…僕の結界が破られた。侵入者だ。…ちっ、よりにもよってこんな時に。」
瞳がすっと細くなり、さっきまでの穏やかな雰囲気がなくなり、冷たい殺気をまとう。
「ジュリエット、城へ戻ろう。エリーたちが危ない。…ジュリエット??」
私はまた足が動かなくなっていた。
「この音、あの日と…同じ音…一座が襲われた時と…」
恐怖がフラッシュバックしてくる。体が言うことをきかない。
レイが抱きしめてくれる。
「安心して。あの時とは違う、僕がいる。
必ず君を守るよ。」
レイは私を抱えると、あっという間にシルバーのもとに戻った。
「汝、疾風となれ…」
シルバーに魔法をかけると、すばやくまたがり、私を乗せて駆け出した。
行きの何倍ものスピードで森を駆け抜ける。
城がどんどん近づいてくる。一体何が起こっているの。
「旅?一座の話でいいの?」
「うん。どんなところに行ってどんな人と出会ったの?…知りたい。」
青の瞳がすっと覗き込んでくる。
その時、レイの瞳の中に映る自分を見て私は自覚せざるを得なかった。
うるりと輝く瞳に、ほんのり紅潮している顔。そう、私はどうしようもなくレイに恋をしてしまったんだと。
「うん。いいよ。私たちはね…」
私のどうでもいい話も真剣に聞いてくれる彼が、美しい笑顔の彼が、誰よりも優しく私に触れてくれる彼が、いつのまにか私は好きになってしまったのだ。
自覚した瞬間、普通に話すのがつらくなってしまった。わずかに空いた二人の隙間をうめてしまいたい、抱きつきたい衝動を必死に抑え込む。
「あ!そういえば!」
私はデビューの話に入った瞬間思い出した。
「どうした?」
「私レイにプレゼントを用意したの!」
バッグの中を探る。あった!!
「これ、レイを思って作ったの。仲直りの記念に受け取って。」
「これは…楽譜?」
「うん。昨日一日で作ったから編曲はすごく雑なんだけど…。から歌うから聞いて…」
私は広場の真ん中まで素足で飛び出す。何度か大きく深呼吸して歌い始めた。
風が私の声をどこまでも運んでくれる気がする。
あなたの穢れない魔力も、
きれいな青の瞳も、
サラサラ流れる星の色をした髪も、
本当はだれよりも優しい心も、
全部全部私を惹きつけるんだよ…
そして私は、そんなあなたをずっと前から知ってる気がするんだよ?
「ど…うかな…」
歌い終わったけど全く反応のないレイ。
私はトコトコ歩いてレイのもとへ戻る。
「レ…レイ…??」
覗き込んでみると、ようやく目があった。
「きゃっ!!!」
気が付くと私はレイの腕の中に閉じ込められていた。
「ちょ、レイ!?どうしたの??」
「これ、僕のためにつくってくれたの?」
「うん。そのつもり。どうだったかな?」
レイの胸に押し付けられてしまっているせいで顔が見えない。
「ジュリエット…君って本当に…あぁ…すごく伝わってきたよ…僕は君にこんなことをしてもらえるような人間じゃないのに…」
「喜んでもらえた?」
レイはふっと私を解放してくれる。
「嬉しいなんてものじゃないよ、この曲の伴奏はもちろん僕にさせてくれるよね?」
レイはみたことのないくらい満面の笑みで答えてくれた。
「もちろんよ!また一緒に合わせましょう!」
その時、どこか遠くでガラスが割れるような音がした。
幸せな空気が一瞬で凍る。
レイはものすごい勢いで立ち上がり城の方角をにらんだ。
「…僕の結界が破られた。侵入者だ。…ちっ、よりにもよってこんな時に。」
瞳がすっと細くなり、さっきまでの穏やかな雰囲気がなくなり、冷たい殺気をまとう。
「ジュリエット、城へ戻ろう。エリーたちが危ない。…ジュリエット??」
私はまた足が動かなくなっていた。
「この音、あの日と…同じ音…一座が襲われた時と…」
恐怖がフラッシュバックしてくる。体が言うことをきかない。
レイが抱きしめてくれる。
「安心して。あの時とは違う、僕がいる。
必ず君を守るよ。」
レイは私を抱えると、あっという間にシルバーのもとに戻った。
「汝、疾風となれ…」
シルバーに魔法をかけると、すばやくまたがり、私を乗せて駆け出した。
行きの何倍ものスピードで森を駆け抜ける。
城がどんどん近づいてくる。一体何が起こっているの。