薔薇の夢をあなたに
「眠った…のですか?」
ロゼットがジュリエットの髪をなでる。





「あぁ、今記憶を戻している最中だよ。」
僕は安らかに眠る彼女を見下ろした。







「次に目を覚ました時に、彼女はほとんどのことを思い出しているはずだよ。」
僕は、そのまま部屋を去ろうとした。





「レイ。」
「何だい、デイヴィス。君の言うとおりにしたんだけど?」









「封印の仕方と今の解除の仕方が違う。お前、自分のことだけは封印したままだろう。」
デイヴィスが鋭い目でこちらを見る。









「そうだけど。何か問題でも?」
「それはジュリエットのためか?」
「それ以外何の理由があるんだよ。」
僕はイライラしながら吐き捨てた。







「そうか…」
「僕は行くよ。ロゼット、後のことは任せたよ。」
「はい、レイ様。」
靴音を響かせながら、僕はジュリエットの部屋を後にした。
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