薔薇の夢をあなたに
―3年前某日―
「お父様!!騎士団の訓練を見に行ってきますね!!」
「おう、ジュリエット。またお前は…、お勉強は終わったのかい?」
「はい!マリア先生にたくさん褒めていただきました!」
マリア先生は私の専属の家庭教師!優しくてたくさん褒めてくれる。
「じゃあ、いってきまーす!!」
ジュリエットの後姿を見てため息をついた。
「まったく誰に似て、あんなにおてんばなんだろうか…」
「あら、あなた?それは私に言っていますの?」お妃様がスッと姿を現す。
「いや、エリーゼ違うんだ!」王様は笑ってごまかす。
「元気な女の子でよいじゃありませんか。
勉学も大変優秀ですし、きっとジュリエットは立派な王姫に成長してくれますわ。」
王様と王妃様が慈愛に満ちた目で見守ってくれていることには全く気付かず、私は訓練場を猛ダッシュで目指していた。
「あら、ジュリエット様。
今日もこんなところまでいらっしゃったのですか?」
赤い美しいローブをまとう女性は、私の大好きな人だった。
「ロゼット!!!」
私は彼女に飛びつく。
「あらあら、姫様。私は訓練の最中ですので汚いですよ?」
「ううん!そんなことない!ロゼットはいつもいいにおいがするの!」
「それはそれは…ありがとうございます。ふふ」
上位の魔法使いである彼女は、よく私と遊んでくれる。
兄弟のいない私にとって、お姉さんのような存在だった。
「今日は、どのようなご用件で?」
「うん?とくにないよ!みんなの訓練を見学しようと思って!」
私は“何か”を探してきょろきょろする。
「そうでしたか。では、こちらへ。
わたしがお供しましょう。」
「ありがと!ロゼット!」