薔薇の夢をあなたに
触れるぬくもりに、少しずつ我を取り戻していく。
レイの胸にぴったりと胸を寄せ、心音に耳を澄ます。
少し早いくらいの鼓動がとても心地よかった。






「少し…落ち着いた…?」
顔を上げると、レイが蕩けるほど甘い笑顔でこちらを見ていた。








「うん…。ごめんなさい、少し取り乱したわ。」
私は目元をぐいと袖で拭う。









「ジュリエット、僕の前では強がらなくていい。」
レイの白くて長い指が頬を撫でる。








「僕は君の恐れるすべてのものから、君を守るよ。
孤独が怖いなら、飽きるほどそばにいよう。
死が怖いなら、どんな敵からも君を守り抜こう。」









レイは私をぐっと私を引き上げて、立たせてくれた。
身長差のせいで、レイを見上げる格好になる。







「ジュリエット…僕は君だけの騎士(ナイト)になると誓う。
君のそばで一生君だけを守り抜くと、今宵の満月に誓うよ…」








真剣なレイの青いまなざしにとらえられ、呼吸すらできなくなる。
レイは滑らかな動きで跪くと、私の手をとる。そして恭しく手の甲へキスを落とした。
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