薔薇の夢をあなたに
「このおとぎ話では、サタンを3つの石によって3人の王が封印したとある。
ここまで来たら、とことんこの話を信じてみよう。




封印が緩んでいるのなら、また僕たちで封印すればいい。
三つの石はおそらく【太陽の石】【月の石】【星の石】だ。





そして3人の王とは、各国の王のことだろう。
もちろん【太陽】の王はジュリエット。」





レイの視線にうなずく。








「【星】の王はアレン国王。そして、【月】の国王、どうやら安否不明のようだが信じて探し出すしかない。」









途方もない話だ。
存在するかも定かではないおとぎ話の石を探し、各国の王の協力を得なければならない。
しかも、根拠はたった一冊の絵本。私は軽いめまいを覚えた。





「ジュリエットの命が狙われている以上、いつまでもじっとしているわけにはいかないな…。
じきにここも見つかるだろう。いちかばちか、この話に賭けてみよう。」
デイヴィスはテーブルの絵本に大きな手のひらを重ねた。







「やるしかないのね…」
「ジュリエット、君は必ず僕が守り抜く。」
レイが強い意思の宿った目で私を見る。





「ジュリエット。レイだけじゃない、俺もロゼットもいる。
一座のみんなもいる。」
力強い笑顔を見せるデイヴィスに、温かい笑顔のロゼット。








私は、みんなを見まわして静かに頭を下げた
「ありがとう…」

< 73 / 146 >

この作品をシェア

pagetop