薔薇の夢をあなたに
「血の封印…王家…火属性…【太陽の石】…」
「…レイ?」
何やらぶつぶつと考えはじめてしまったレイ。






「レイ様はこーなっちゃうと本当周りが見えなくなっちゃうのよね…」
ロゼットが困ったように唇をとがらせる。






「まぁ…しばらく待ってみま「ジュリエット!」
「はい!!」
突然名前を呼ばれて驚いて振り向いた。




レイが興奮したように私に言う。
「この部分に簡単なものでいい、火属性の魔法を当ててみてくれ。」








「わ、分かったわ。」
私は言われるがままに、レイピアの柄にはまった赤い石に魔力を送る。








「聖なる炎よ、力を貸して…」
詠唱し、レイピアを鋭く振ると、現れた火の玉が問題の箇所に直撃した。









次の瞬間、ホールいっぱいに赤い魔方陣が突如出現した。
「ビンゴだ!!」レイの興奮した声が聞こえる。
赤い魔方陣はひときわ強く輝いた。





目を開けると、そこはもう玄関ホールではなかった。
「ここは…?」
「ジュリエット…いるのかい…」
真っ暗な闇の中、手探りで声の主を探す。





「レイ…ロゼット…デイヴィス…、みんないるの?」






「闇を切り抜け。」
小さく短い呪文と共に、レイの魔法であたりにぱっと光がともる。
みんなすぐそばにいたようだ。







どうやらここは城の地下らしい、壁は上と同じ作りになっている。
壁のくぼみに残されたろうそくにどんどん火がともっていく。







「王家の封印なら、王家の者しか解けないはずだ。
つまりここの鍵はおそらく、ジュリエットの魔力だろう。」
レイはローブに着いたほこりを払いながら言う。






「とにかく進んでみるしかないか。
まだ、この空間は下に続いているみたいだしな。」
デイヴィスが指差す先には、下へ続く螺旋階段があった。
< 75 / 146 >

この作品をシェア

pagetop