薔薇の夢をあなたに
私たちはようやく長い長い階段を降り切ったようだった。
たどり着いた広い場所にはたった一つの大きな扉があった。






ここまで来ると、レイの魔法の中にいると言っても
立っているだけで汗がふき出してくる。




レイはそのまままっすぐ扉に向かっていった。
「これは…地上に浮かんだ魔方陣と同じもの…みたいだ…」








扉の真ん中には、小さな赤い魔方陣が浮かび上がっていた。
レイはその魔方陣に触れようとした。「痛ッ!」
しかし、触れる前に弾かれてしまった。






ロゼット、デイヴィスもやってみたが結果は全く同じだった。
「やはり王家の血しか許さないのか…」







レイはこの灼熱の中で、長袖のローブを着ているにも関わらず
涼しげに佇んでいた。





「私がやってみるわ。」ぐっと前に出る。
「ジュリエット、気をつけろよ…」
デイヴィスが私を守護するようにそばに立つ。
同じくレイが反対側に並ぶ。









背後ではロゼットがさらに強力な氷魔法をかけてくれていた。
すっと気温が下がり、汗がひく。





緊張していた、もし私も弾かれたら…
「大丈夫だ、僕がついている。」レイが優しく背中を押してくれる。



うなずいてその扉をにらむ。
私は唇をぐっと噛むと、目の前の小さな魔方陣に触れた。

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