薔薇の夢をあなたに
「ジュリエット!!」
僕は彼女を飲み込んだその扉にこぶしを叩きつける。






「落ち着け、レイ。予想できたことだろう。
俺たちにできるのはここで待つことだけだ。」
デイヴィスは少し離れたところにドカッと腰を下ろした。






「ジュリエットは今一人なんだ!!早くいかないと…」
僕は乱暴に攻撃魔法を放つ。
しかしその巨大な扉には傷一つつけることはできなかった。




「くそっ!!守るって言ったばかりなのに…」
「太陽の王族として、遅かれ早かれ乗り越えないといけない試練なんだよ、これは。」





冷静なデイヴィスの言葉にいらだった僕は、彼の胸倉をつかみ壁に押し付ける。「知ったこと言うなよ…お前に何が分かる…」
「分かるよ。俺の父親が先代の王に仕えていたからな、王位継承の儀式の話はなんとなく知ってるんだ。」





「これがそれだっていうのか…」
僕はぎりっと歯ぎしりする。






「分からない…でもジュリエットにしか乗り越えられないものだ。
俺たちは信じて待つしかないんだ。」
僕は乱暴に彼を突き放す。






「くそっ。」
「レイ。お前少し落ち着け。誰より俺たちがジュリエットを信じてやらないといけないだろ。」








ぎゅっと目をつぶると彼女の愛しい笑顔が浮かんでくる
…頼む…ジュリエット…どうか無事で…
僕はその巨大な扉を見上げた。
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