薔薇の夢をあなたに
一行は次の目的地【月の国】を目指していた。
「それにしても、すごく緑が増えた気がする…。」
荷馬車に揺られながら私はつぶやいた。
ここはまだ【太陽の国】の領域内。
「当り前よ、あなたが【太陽の石】の封印を解いたからじゃない。」
ルビーは定位置になりつつあるレイの肩の上でつぶやく。
「ルビー、それはどういう意味だい?」
レイが覗き込む。
「土地が荒廃していたのは、悪魔の侵攻ももちろん理由の一つだけど。一番大きな原因は、大地の力の源である石を封印していたからよ。」
「そうだったのね…」
私は右手に光るリングを見下ろした。
「…ということは、太陽の土地は息を吹き返す…ということかい?」
「もともと、悪魔に悪用されないように一時的に封印していただけだからね。正しい王族の手に力が戻れば、【太陽の国】はすぐに元通りになるわよ。」
ルビーはなんてことないように言った。
「そうなんだ…よかった…。」
私はほっとした。
よかった…この国は生き返るのね…
「ま、でも悪魔がかなり地上に上がってきているのは事実みたいね、空気がよどんでいるもの。原因を突き止めないといけないわ…」
ルビーは遠くをじっと見つめる。
その時だった。
「レイ様!団長がお呼びです!」
ふと、団員が声をかけてきた。
「あぁ、今いく。」
レイはすっと立ち上がりデイヴィスのもとへ行った。
私は、話し相手のレイがいなくなって、暇になってしまった。
荷馬車から足を突き出してぶらぶらさせる。
「レイ、早く戻ってこないかなー…。」
「ジュリエットはレイが好きなのね。」
「え!ルビー?」
レイにそのまま付いていったと思っていたルビーがちょこんと横に座っていた。
驚いた私にすこしムッとした様子のルビー。
「ワタクシ、これでもあなたの使い魔ですのよ。レイがいつもあなたの側にいるから一緒に居るだけで、基本ワタクシはあなたの守護ですわ。」
ツンとすまし顔で言う。
なんだか可愛くて頭をなでなでしてみる。
「もう!どうしてすぐそうやってペット扱いするんですの、ジュリエットは!
…まぁ。それで、どうなの?レイのこと、好きなんでしょう?」
「そ、それはね…う…うん…。」
私は恥ずかしすぎてうつむく。
「ふーん、お姫様は心が自由で心底うらやましいわ…。」
「え?」
「あなたがどう思っていようと、周りはあなたを太陽の姫だと思っているんじゃなくて?
王族は、王族同士で婚姻するのがこの世の常ですの。ほとんどの一般人は、あなたを恋い慕う権利すらないのよ。」
「そんなこと…考えたことなかった…。」
「ほら、まだまだ小娘ね。あなたが好きになるのは自由だけど、相手の重荷にならないのか、きっちり考えなさいな。」
今のルビーの瞳は、なんだか珍しく優しかった気がする。
「ルビー…ありがとう…」
私は小さなぬいぐるみのような彼女の頭をなでる。
「ちょっと、さっきからやめてよ!」
真っ赤になってしまった彼女は小さな炎を吹いた。
「それにしても、すごく緑が増えた気がする…。」
荷馬車に揺られながら私はつぶやいた。
ここはまだ【太陽の国】の領域内。
「当り前よ、あなたが【太陽の石】の封印を解いたからじゃない。」
ルビーは定位置になりつつあるレイの肩の上でつぶやく。
「ルビー、それはどういう意味だい?」
レイが覗き込む。
「土地が荒廃していたのは、悪魔の侵攻ももちろん理由の一つだけど。一番大きな原因は、大地の力の源である石を封印していたからよ。」
「そうだったのね…」
私は右手に光るリングを見下ろした。
「…ということは、太陽の土地は息を吹き返す…ということかい?」
「もともと、悪魔に悪用されないように一時的に封印していただけだからね。正しい王族の手に力が戻れば、【太陽の国】はすぐに元通りになるわよ。」
ルビーはなんてことないように言った。
「そうなんだ…よかった…。」
私はほっとした。
よかった…この国は生き返るのね…
「ま、でも悪魔がかなり地上に上がってきているのは事実みたいね、空気がよどんでいるもの。原因を突き止めないといけないわ…」
ルビーは遠くをじっと見つめる。
その時だった。
「レイ様!団長がお呼びです!」
ふと、団員が声をかけてきた。
「あぁ、今いく。」
レイはすっと立ち上がりデイヴィスのもとへ行った。
私は、話し相手のレイがいなくなって、暇になってしまった。
荷馬車から足を突き出してぶらぶらさせる。
「レイ、早く戻ってこないかなー…。」
「ジュリエットはレイが好きなのね。」
「え!ルビー?」
レイにそのまま付いていったと思っていたルビーがちょこんと横に座っていた。
驚いた私にすこしムッとした様子のルビー。
「ワタクシ、これでもあなたの使い魔ですのよ。レイがいつもあなたの側にいるから一緒に居るだけで、基本ワタクシはあなたの守護ですわ。」
ツンとすまし顔で言う。
なんだか可愛くて頭をなでなでしてみる。
「もう!どうしてすぐそうやってペット扱いするんですの、ジュリエットは!
…まぁ。それで、どうなの?レイのこと、好きなんでしょう?」
「そ、それはね…う…うん…。」
私は恥ずかしすぎてうつむく。
「ふーん、お姫様は心が自由で心底うらやましいわ…。」
「え?」
「あなたがどう思っていようと、周りはあなたを太陽の姫だと思っているんじゃなくて?
王族は、王族同士で婚姻するのがこの世の常ですの。ほとんどの一般人は、あなたを恋い慕う権利すらないのよ。」
「そんなこと…考えたことなかった…。」
「ほら、まだまだ小娘ね。あなたが好きになるのは自由だけど、相手の重荷にならないのか、きっちり考えなさいな。」
今のルビーの瞳は、なんだか珍しく優しかった気がする。
「ルビー…ありがとう…」
私は小さなぬいぐるみのような彼女の頭をなでる。
「ちょっと、さっきからやめてよ!」
真っ赤になってしまった彼女は小さな炎を吹いた。