薔薇の夢をあなたに
予定通り、国境付近の町に着いた私たち。
小さな町だったが、生活に必要な一通りのものが揃っていた。
町に入った私たちは、久しぶりのテント張りや公演の宣伝に大忙しだった。
気付けばもう日は沈み、開演の時間が迫っていた。
私は部屋で公演の準備をしていた。
「うーん、今日はどれを歌おうかな…あと衣装は…」
ルビーは私のベッドでぐっすり眠っている。
起こさないようにしないとね。
だけど…
なぜか廊下が騒がしい…。
私は、部屋から出て様子を伺った。
「ロゼット頼む!もう勘弁してくれ!」
「いけません!レイ様!まだメイクの途中ですから!!!」
どたどたと廊下をかけてくる影。
私たちはドンっ!とぶつかる。
「あぁ、すまない…大丈夫かい…ってジュリエット!?」
「え?レイなの?」
そこにいたのは、確かにレイだった。世にも珍しい「碧い」瞳がこちらを見ている。
美しい金色の髪は右片方だけピンで編みこまれている。
美しい顔を引き立たせるようにうっすらほどこされたメイクはとても似合っているし、右側だけ強く引かれたアイラインはとても妖艶だった。
衣装はぴったりとした淡いグレーのタキシード。
細身の体と色白な彼の肌によく映えていた。
だけどこんなもの、レイしか着れないと思う…。
「かっこいい…」私はぽつりとつぶやいた。
すると、レイがみるみる真っ赤になる。
「これは…その…」
「レイ!似合ってるよ!すごい!!マジシャンっぽい!!」
「いや、今すぐロゼットに直してもらう。こんな恰好で、ステージに出るなんて…恥ずかしくて死んでしまう!」
それを聞いたロゼットがぐいっとレイの背中を押す。
「ダメです。レイ様。ステージではこれくらいやらないと映えないんです!さぁ。もうすぐ本番ですよ。舞台袖にスタンバイしてください!」
ぐいぐい押されていくレイ。
「あははは。」
私は思わずおなかを抱えて笑ってしまった。
いくら【黒の団】団長のレイでも、芸人としては駆け出し。
百戦錬磨のロゼットさんに敵うわけがない。
私はそのまま笑いながら自室に戻り、ささっと準備を済ませた。
小さな町だったが、生活に必要な一通りのものが揃っていた。
町に入った私たちは、久しぶりのテント張りや公演の宣伝に大忙しだった。
気付けばもう日は沈み、開演の時間が迫っていた。
私は部屋で公演の準備をしていた。
「うーん、今日はどれを歌おうかな…あと衣装は…」
ルビーは私のベッドでぐっすり眠っている。
起こさないようにしないとね。
だけど…
なぜか廊下が騒がしい…。
私は、部屋から出て様子を伺った。
「ロゼット頼む!もう勘弁してくれ!」
「いけません!レイ様!まだメイクの途中ですから!!!」
どたどたと廊下をかけてくる影。
私たちはドンっ!とぶつかる。
「あぁ、すまない…大丈夫かい…ってジュリエット!?」
「え?レイなの?」
そこにいたのは、確かにレイだった。世にも珍しい「碧い」瞳がこちらを見ている。
美しい金色の髪は右片方だけピンで編みこまれている。
美しい顔を引き立たせるようにうっすらほどこされたメイクはとても似合っているし、右側だけ強く引かれたアイラインはとても妖艶だった。
衣装はぴったりとした淡いグレーのタキシード。
細身の体と色白な彼の肌によく映えていた。
だけどこんなもの、レイしか着れないと思う…。
「かっこいい…」私はぽつりとつぶやいた。
すると、レイがみるみる真っ赤になる。
「これは…その…」
「レイ!似合ってるよ!すごい!!マジシャンっぽい!!」
「いや、今すぐロゼットに直してもらう。こんな恰好で、ステージに出るなんて…恥ずかしくて死んでしまう!」
それを聞いたロゼットがぐいっとレイの背中を押す。
「ダメです。レイ様。ステージではこれくらいやらないと映えないんです!さぁ。もうすぐ本番ですよ。舞台袖にスタンバイしてください!」
ぐいぐい押されていくレイ。
「あははは。」
私は思わずおなかを抱えて笑ってしまった。
いくら【黒の団】団長のレイでも、芸人としては駆け出し。
百戦錬磨のロゼットさんに敵うわけがない。
私はそのまま笑いながら自室に戻り、ささっと準備を済ませた。