薔薇の夢をあなたに
「このまま解毒ができなければ72時間で死に至ります。」
町の薬師から言い渡された刻限は残酷なものだった。

「72時間だと!?おい!どうにかならないのか!!」

デイヴィスは薬師につめよる。

「バジリスクの毒を解毒できる薬草は残念ながらこの町にはないのです…しかも、大変貴重なものでして…」

薬師も弱り果てている。

「レイ!!しっかりして!!お願い!!」

私は癒しの魔法を注ぎ込みながら、必死によびかける。美しい顔は苦痛で歪み、汗がふき出し続けている。
肩口の傷は毒々しい紫に染まっている。

「くっ、その解毒の薬草はどこにあるんだ!?」

「先代からの言い伝えでは、迷いの森に自生していると…」

「その迷いの森ってのはどこにある!?」

「馬ですと、ここから2日はかかります、それにその森は…」

「何だ!!?」

「…人が入れない森だと言われています。」

「どういう意味だ!」

「分かりません…私も聞いたことしかないので…」

「くっ、とにかく行くしかない。すまない、薬師さん。道を教えてくれ。」

私をかばって大蛇バジリスクの毒牙を受けたレイは、なんとかすぐに手当てを受けることができた。
しかし、古くからの上級悪魔であるバジリスクの毒は、普通の医学では対処不能だったのだ。

「ここを出る。目的地は急きょ変更して、迷いの森を目指す!」

私はレイの手をぎゅっと握る。

「お願い…間に合って…」
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