月明かりと薄桜 -誠の絆-
「人前で泣いたのなんてガキんとき以来だ。みっともねえとこ見せてすまねえな」
彼はそう言って
私の頭を優しく撫でてくれた
子供を見るような目で笑う彼の目は
さっきの涙のせいか
少しだけ赤く腫れていた
それは彼が溜め込んでいたものを吐き出した証拠だ
「誰にも言いませんから」
そう言うと彼は安心したようにまた笑う
それは左之さんの部屋に来たばっかりの時のような
悲しい顔はどこにもなかった