月明かりと薄桜 -誠の絆-

「しっかし、少しばかりか眠くなっちまったな」


ふわ〜と大きなあくびをする左之さん

あくびは人にうつるって聞いたことがあるけど


それはどうやら本当のことみたいだ

無意識に私まであくびをしてしまう

彼のあくびが私の睡魔まで誘い出す



「土方さんも今日くらいは見逃してくれるだろ」


そう言うと左之さんはすっと立ち上がり

押入れの戸を開けて布団を取り出した

どうやら一眠りするらしい


なら私は沖田さんの部屋に戻って…




「おい、どこに行くんだよ?」


彼の一言が私の行動を制する


「左之さんが仮眠取られるなら私は部屋に戻ろうかと…」


彼はふっと笑みをこぼす

え…?

私なにか変なこと言ったかな?


すると左之さんは私に手招きをする


「お前、さっきあくびしてただろう?」


左之さんの問いかけに

こくりと頷く。



「なら一緒に寝りゃあいいじゃねえか」


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