月明かりと薄桜 -誠の絆-
私に声をかけてきたのは間違いもなく
あの一花だった
黄色の小袖を着ていて
身なりは多少違ったけれど
声も顔も間違いなく一花だった
となると
もしかして一花やお父さんみたいに
現代にいた人が他にもいるかもしれない
「りん、どうしたの?顔色悪いよ?」
すっと覗きこんできた一花は
不安そうに私の目を見つめた
この調子だと一花自身は
この時代の人となってるのかもしれない
「ううん、なんでもない」
なんでもないことなんてないんだけど
そう言って笑ってみせると一花はにっこり笑って
ならよかったと笑顔見せた