月明かりと薄桜 -誠の絆-


「入隊試験の際は俺がお前を見てやろう。お前の剣は真っ直ぐだからな」


そう言うと斎藤さんは

キラキラ輝く瞳の男の子の頭を

ぽんぽんと優しく撫でた


そして二人は小指を絡めて



「お兄ちゃん!約束だよ!」



ゆびきりげんまん

真っ直ぐな剣だと褒められた男の子は

すごく嬉しそうな顔をして

結んだ小指をぐんぐんと上下に振っていた


それに合わせて斎藤さんも笑顔を見せる



「じゃあね!」



そうして男の子は駆けて行ってしまった

小さな背中はさらに小さくなっていって

あっという間に見えなくなってしまった



新選組に憧れる男の子

そんな人がちゃんといるんだと思うと

私は自分のことのように

少し嬉しかった




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