月明かりと薄桜 -誠の絆-
一花がすぐそこにいることに
ちょっとだけ安堵した時だった。
「お譲ちゃんめんこいねえ」
「ほんまべっぴんさんやな」
誰かに肩を叩かれて振り返ると
二人の男が怪しい笑みを浮かべながら
声をかけてきた
なんだか…酒臭い
けれど腰には刀が刺さってて武士だと思える
もしかして不定浪士っていうやつだったりする?
「え、いや、あの…」
もしそうだとしたら
下手にはむかえば斬られるかもしれない
なんて言えばいいか…分らない
剣道とかそういう武術なんて
もちろん知らないし
護身術とかも分からないし…
世で言う"ナンパ"だとしても
ナンパの交わし方なんて
この時代に通用するはずがなかった