月明かりと薄桜 -誠の絆-
中庭に響くのは彼の声だけ
突然のことに肩が大きく揺れて
言葉が喉に詰まった
「君、うるさいよ。僕がちょっと優しくしたからって何?勘違いでもしてるの?」
…は?
私の目の前にいるのは
私が知らない沖田さんだった
この目は見覚えがある
私が初めてここに来た日
初めて彼にあった日
彼が私に向けた目だ
"敵"
そうだ、私は信頼なんか最初からされちゃいないんだ
彼らの心になりたいだなんて
勝手に舞い上がって浮かれて
そうか、そうなんだ