月明かりと薄桜 -誠の絆-


「…なんで私のためにわざわざ?」


思わず私は彼に問いかけた


私のことが嫌いならこんな本無視して置いてくればよかったのに


私のことを信頼してないならさっさと斬っちゃえばいいのに


彼は…矛盾している

そうとしか思えなかった



「君の為なんかじゃない。新選組のためだ」


「君にはさっさと帰ってほしいからね」



なんでだろう?

こんなこと言われても

私が傷つく必要なんてないのに

胸の奥が針で刺されたみたいに

チクン、チクンと傷んだ



「…そうですか」


震える声を必死に抑える

なんでか分からない


彼に怒ってるのか

彼の言葉に傷ついているのか

哀しいのか_____。



私には自分の気持ちでさえも

さっぱり分からなかった





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