月明かりと薄桜 -誠の絆-

「りん!」



名前を呼ばれたほうに顔を向けると

刀を抜くお父さんがいた

鋭い目つきで初めて見るその顔に

なぜか恐怖を覚える




「やめて!こないで!」



刀を抜くなんてそんな…!

たとえここが過去のことだとしても

お父さんが傷付くのは耐えられない



でもお父さんは私の声に耳を傾けようとしなかった



目の前の浪士をただ睨みつけ

その手を離せと言わんばかりに

気を張っている



「ほう…歯向かうつもりか」


相手がその気になってしまったらしい

浪士二人が刀を抜いた



嫌…だよ

二対一なんて無茶すぎるよ…

お願い

お願いだから…

…誰かっ…止めてよ…!




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