月明かりと薄桜 -誠の絆-
私達は沖田さんの部屋に戻って
昼間に買ったお団子を食べ始めた
もちろん、土方さんには内緒で
もしバレたりしたら
絶対取り上げられるし
明日の朝食まで抜きにされてしまう
私の隣でパクパクと美味しそうに食べる沖田さんの横顔は
本当に幸せそうだった
いつかの夜の彼が嘘みたいだ
「沖田さん、ひとつだけ、お願いしていいですか?」
そう尋ねると
彼は口の中でお団子をモグモグしながら
"ひゃに?"と言った
食べてしまってから話してくださいよ…
「これからは毎日みなさんと一緒に食事をとって、用意したものは最低限全て食べてください」
私の願いはそれだけだった
偽善者、なんて思われるかもしれないけれど
大きなおせっかいかもしれないけれど
私は少しでも彼に元気になって欲しかった
食べるものを食べないと病気だって良くならない
"労咳"がどんな病気なのかはよく分からないけれど
私にできることはそれくらいしかなかった