月明かりと薄桜 -誠の絆-
「凛ちゃん、いるよね?」
"忘れる"という怖さに怯えだした時だった
静かだった廊下に
足音が響いて襖がすっと開いた
見上げるとそれは
沖田さんだった_____
「ごめん、なんかあった?」
私を驚かせたと思ってるのか
彼は誤って顔を覗いてきた
ち、ちか…
顔と顔の距離は5センチ程
あと少しで鼻がぶつかりそう…
「何もない…ですよ」
何かあったのかと聞かれても
さっきの出来事を話すわけにもいかない
私はとっさに手に持っていた本を
自分の背中に隠した