月明かりと薄桜 -誠の絆-


「平助くん、本当に行っちゃうの?」


単刀直入に

切れる息を必死に整えて声を出した

すると彼はさらに驚いた表情をする



「お前なんで…」



平助くんは私に秘密で屯所を出た

だから私がその事を知ってるなんて

思ってなかったんだろう



「沖田さんが教えてくれた」

「総司のやつ…」



少しスネた顔に変わる彼


そんなに私に教えたくなかったのかな…

私には関係ないからかな…


変な想像が心を重くする



「ごめんな、何も言わないで勝手に出てって」


すると彼は気の毒そうに声を漏らした

頭をポリポリとかきながら

視線はそっぽを向いている
 

見ている先には行き交う人々___




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