月明かりと薄桜 -誠の絆-


「なんだか今日はおとなしいんだね」

 
 

部屋の隅から視線を感じて

そちらに目を向けると沖田さんはニヤリと怪しげな笑みを見せた




「いつもなら今にでも飛び出しそうになるのに」



と、言われても…


今私達がいないところで起こってること

できるだけ考えたくなかったから

頭に浮かばせたくなかったから

その光景を、想像したくなかったから



そして彼は

何も言わない私に不満をもったのか

それとも勘付いたのか




「もしかして君、僕らが言わなくても分かってるんじゃないの?」




ズキン

胸に何かが刺さった音がきこえた

痛かった

苦しかった

けどやっぱり声が出なくて何も言えない


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