月明かりと薄桜 -誠の絆-
「もしかして、さっき道に倒れてたのってお前の父親か?」
原田さんはさっき通った道のほうを眺めながら
気の毒そうにそう言った
それにコクリと頷くしかなかった
もう、声を出す気力すらない
今にでも気を失いそうだ
「左之さん、とりあえず屯所に運ばねえか」
「…そうだな」
男の子と原田さんに支えられて
私は歩き出した
きっと、新選組の屯所に行くんだ
もうそれでもいい
どうせ行くところなんてないんだし
私を斬るなら斬ればいい
悪い夢なら早く覚めてよ…
早く幸せだった現代に返してよ…?