月明かりと薄桜 -誠の絆-
「私は今から遠い未来の平成という時代から来ました」
そう口にすると
広間内がざわめきで包まれた
近藤さんや土方さんは顔をしかめるだけ
これだけじゃ信じてくれないこともわかってる
だからできるだけ詳しく話す必要がある
「私はこれから先貴方達に何が起こるかも知っています」
「貴方達の生涯、生年月日も全て」
彼らが…いつ死んでしまうかも分かってる
いくつか説はあるけれど
でもそれは彼らに言うつもりはない
そんなの残酷すぎるから
「てめえ、斬られてぇのか?」
土方さんは刀に手を添えた
けれどそれを近藤さんが手で制した
誰も斬られたくて
こんなこと言ってるんじゃない
本当のこと言ってるだけ
新選組のこと
少し詳しくて助かったかも…
他はなんて説明しよう…
証明できる物は何もないし…
せめて携帯さえあれば
少しは信じてもらえるかもしれないのに
そうだ
私がこの幕末の自体の人間だとしたら
絶対に私が知るはずもないことを言ってみよう