月明かりと薄桜 -誠の絆-



「未来から来たことは認めてやる」


なんて上から目線な…

まあしょうがないか



未来から来たなんておかしすぎる話だもの

信じてもらえなくて当然のことを

信じてやるって言ってもらえてるんだから

それだけでもありがたいこと




「で?この者はどうするのですか」



振り返ると

沖田さんの隣に座ってた人がそう言った


これから私をどうするのか

斬るのか、生かすのか

そういう次元の話だろう



「まだ名前を聞いてなかったな」


近藤さんが久しぶに口を開いた

そういえば自分の名前言ってなかったっけ



「私は神崎凜と申します」



「歳は16、貴方がたの不思議な書物を見つけそれを読んだことから過去にさかのぼったみたいです」



あの日図書室で見つけた黒い背表紙の本

手に取るように存在していた


あの本さえなければ…

今頃家に帰って

お父さんと晩御飯食べてたのかな



そう思うとまた

止まっていた涙がこぼれ落ちた

今日はやけに涙腺が緩い

泣きたくないのに勝手に溢れでるんだもの




「副長、手を尽くしましたが」



ふすまがスゥと開いて一人の男が顔を出し

私の方を一瞬見て

土方さんを呼んだ

そしてバツの悪そうな顔をしていた




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