月明かりと薄桜 -誠の絆-
お預かりされます
頭を上げるとさっきまで私の後ろにいた幹部の人たちが
すぐ近くまで寄ってきていた
「これならよろしくな、りん!」
真っ先に声をかけてくれたのは平助くんだった
本に書いてあるとおりの
江戸っ子質のようだ
明るくて元気な男の子
「藤堂くん、まずは自己紹介ですよ」
近藤さんの隣に座る人が初めて口を開いた
土方さん、近藤さん、彼
そのように座っていたが
彼はこの広間に入った時から
一言も喋らずにいた
そんな彼が初めて話したのだ
優しい雰囲気を放っているものの
近藤さんとはまた違う雰囲気だった
「私は山南敬助と申します。」
その人はそう名乗った
やはり彼の名前も聞いたことがあるものだった
山南さんはにっこり微笑むと
他の幹部の人たちにも
挨拶をするよう促した