月明かりと薄桜 -誠の絆-
「僕のことは、もういいよね。」
さっき興味津々に話しかけてきた沖田さんは
めんどくさそうにそれをあしらった
微笑んでいるのに冷たい目の奥は
やはり私をまだ敵対視してるようだった
それならそれで別にいいんですけど…
信頼してもらわなくったっていい
未来に帰れる方法が見つかりさえすれば
それでいいから
「ただ…僕らの邪魔をするようなら容赦なく斬っちゃうから」
背筋がゾッとした
だってそれが冗談に聞こえなかったから
表情を変えずに笑う沖田さんが
ただ純粋に怖い
「ばぁか怖がってんだろうが」
はいもいいえも言えない私と
本気なのかからかってるのか分からない沖田さん
その間に他の幹部の人たちがはいり込んできた
ふと助かった、そう思った
「俺は二番組組長、永倉新八だ」
「新八って呼んでくれていいぜ」
ニカッと笑うその笑顔はまるで頼れるお兄さんだ
型いがよくて肩から伸びる腕の筋肉は
相当なものだった
新八さん…
彼はたしか原田さんと交流が深かったはず
そして平助くんとも仲が良いらしかった