月明かりと薄桜 -誠の絆-
そして今度は副長の土方さんが口を開いた
「山崎はいるか」
これまた聞いたことある名前
頭の中でまた一つはてなマークを浮かべると
土方さんの問いかけからすぐふすまが開いた
「お呼びでしょうか」
それはさっきの男の人だった
おとうさんの手当をしてくれた…
そうだ、思い出した
彼は…
「山崎丞といいます」
山崎丞
彼は監察方としてこの新選組で働き隊士の手当なども行っていたという。そして近藤さんにかなり信頼されていたと聞いている
山崎さんは私に軽く会釈をすると
今度は呼び出した土方さんに視線を向けた
「こいつ頰を斬られてやがる。手当してやってくれ」
「御意」
土方さんは山崎さんにそう頼み
山崎さんはそれを受け入れた
そういえば私、斬られたんだ
そのことをすっかり忘れていて
斬られたらしいところを触ってみると
傷口はまだ開いていて指が少し赤くなっていた