月明かりと薄桜 -誠の絆-
「またね、凛、ちゃん」
哀しい目で笑う沖田さんが
ヒラヒラと手を振ってくれた
なんでそんな目をしてるんだろう?
どうして?
あんな敵対視した目をしていたはずなのに
沖田さんのことがさっぱり分からない
「よろしくお願いしますっ」
ペコリと頭を下げると
その哀しい目のまま
ふっと笑って彼は行ってしまった
追いかけて彼の話を聞きたいのは山々だったけど
土方さんはそうはさせてくれない
「何ノロノロ歩いてやがる。さっさと行くぞ」
私より何十歩も先を歩いてたはずの土方さんは
知らない間に戻ってきていて
少し強めの力で私の腕を引っ張り
自分の部屋へと再び歩き出した