月明かりと薄桜 -誠の絆-
でもそんな不安を安らげるように
聞き覚えのある声が聞こえてきた
「りん、おはよう。」
台所のようなところにいた人は
振り返り私を見て微笑んだ
優しいその顔、その声
間違えるはずがないその人
「おはよう、お父さん」
場所は違うけど
お父さんはそこに存在していて
ますます訳がわからなくなる
どうしてお父さんは袴を着てるの?
会社は?スーツは?
次々と疑問が浮かんでは
消化しきれないまま頭をぐるぐる回る