月明かりと薄桜 -誠の絆-
はっと顔を上げると
そこには険しい顔の沖田さんがいた。
「どこに行ったのかと思ったら…」
ため息まじりに呆れた表情の沖田さん
男性の話に集中しすぎて
巡察のことをすっかり忘れていた
把握してたはずの隊士の列も
いつも間にか視界から消えてたらしい
「本について訪ねてまして…」
その後彼から"で?"と言われてしまったので
私は男性から聞いた話をそのまま伝えた
すると彼はさらに困った顔を浮かべた
「池田屋、ねえ…」
そう言って遠くを見つめるのだった
そして彼は何かを決心したみたいで
その瞳は我に返っていた
沖田さんはなにを思っているのだろう?
すると彼はこちらをじっと見つめて
「僕が何とかする」
そう言ったのだった