月明かりと薄桜 -誠の絆-
けれども
待っても待っても彼らは帰ってこなかった
山崎さんからの連絡も届かない
部屋の外からは
トタトタと廊下を往復する山南さんの足音が聞こえる
彼も気が気じゃないんだろう
そんな時だった
その足音がピタリとやんだかと思えば
「神崎くん!!」
山南さんが私も呼ぶ声が聞こえてきた
もしかして土方さん達が帰ってきたんだろうか
急いで廊下へ出ると
空にはもう太陽が昇り始めていた
現代で言う6時頃だろう
「彼らを見てやってください!」
山南さんの声が聞こえる方へ走ると
隊士たちの姿が見えた
そしてそこには二台の担架
駆け寄ると次第にわかる怪我人の顔
私は思わず口を手で覆ってしまっていた
「平助くんと沖田さん…!?」